永遠の処女性をモチーフに、制服少女のポートレート写真で知られる写真家・武井裕之。 昨年9月に白白庵(南青山)で企画開催された展覧会「禁断の果実たち」では、陶芸作家とのコラボレーションが大きな話題となった。 その中から陶芸家・新見麻紗子を抜擢し、本年1月の個展(Art Complex Tokyo)ではさらに深く少女と器の関係について考察が進み、本展へと繋がる。 他方、一昨年夏に北鎌倉小舎(神奈川)で武井と二人展を開催した人気画家・イラストレーターの大槻香奈も、天祭初出展で意気込む。 写真と器と絵画の三者の関わり合いにより、どんな光景が広がるのだろうか。 会場には撮影モデルも登場予定!
[作品展示・販売]
[日 程] 4月17日(金)-19日(日)
[時 間] 午前11時-午後7時(最終日は午後6時まで)
[会 場] 「増上寺会館」三階「柏の間」
(写真左/武井裕之 中/新見麻紗子 右/大槻香奈)
【出展作家・協力関係】
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武井裕之 (写真 / 東京)
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新見麻紗子 (陶芸 / 千葉)
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大槻香奈 (絵画 / 京都)
【企画趣意】
昨年9月に白白庵で企画開催された、武井裕之による少女ポートレート写真と四名の陶芸作家による展覧会「禁断の果実たち」。
従来、武井が映す少女は現実よりもメランコリックな空想の中の住人として見せられていたが、この展覧会では陶芸作家が作る「うつわ」を実際に手に持って映されることにより、虚構から一気に現実へと近づいて見せることになった。
加えて、従来は白黒やブルーのモノトーンがほとんどだった武井の写真表現も、カラー(デジタルカメラ撮影)を取り入れることによって格段に間口が広がり、従来のファンだけでなく新しい層に訴えることに成功した。
そもそも武井の映す「少女」は永遠の処女性を表しつつ、時に力強く、激しく、時に儚げに、切ない表情を見せる。自己の確立にはまだ遠く、しかしながら自らの核となる意志を持ち始める頃の少女たちは、驚くほどに多面的な表情を見せ、一瞬たりとも同じ存在では無いと言えるだろう。
まさにその姿は不定形の「うつわ」であり、これから大人になるにつれて数々の甘さや辛さ、苦さを知るであろう容器の中には、まだほんの数滴の液体しか注がれていないかもしれない。しかしながら、陶磁器の「うつわ」がそうであるように、注がれる液体によって「うつわ」は表情を変え、やがてちょっとづつ液体の成分が染み入り、時間の経過とともに確かな色の変化が訪れる。
少女たちが手にする「うつわ」はまさに自身の投影でもあり、未知の感覚・経験を自らに取り入れるための道具でもある。
即ち、禁断の果実なのである。
その後、「禁断の果実」展(白白庵)に参加した陶芸作家のうち、新見麻紗子をゲストに招いての武井裕之の個展が本年1月に開催された。
ここに至って武井と新見それぞれのアプローチは共に近づき、写真に映された少女達の持つ「うつわ」は新見が焼成した大きな器を割った欠片を手にすることにより、鋭敏さと繊細さを際立たせることになった。
他方、2013年に武井裕之が横浜で二人展を開催した相手となったのが、当時既に大ブレイクを果たしつつあった美術作家・大槻香奈であった。
共に制服少女をモチーフにすることから意気投合し、かたやフィルム、かたや画面に映し出す(描き出す)光景は全くの異質のものでありながらも、大槻がデフォルメして描く少女の具体性が武井によって賄われ、武井の写真の中の寡黙な少女達が大槻の絵画の中でにわかにおしゃべりになるような、不思議な交感を果たしていた。
武井裕之(写真)、新見麻紗子(陶芸)、大槻香奈(絵画)の三人を初めて一同に介させる事により、これらの化学反応がさらに高まり、少女とうつわの関係がさらに深まる事を期待して、この企画を考案するに至った次第である。
【feat.】
武井 裕之 TAKEI Hiroyuki
【略歴】
フリーのFMラジオ音楽番組制作ディレクターの仕事の傍ら、写真を独学で学ぶ。1995年からストリートで制服少女のみの撮影を始め、彼女たちが持つ思春期独特のオーラに強く惹き付けられるようになる。その後、繊細で儚い処女性を追い求め、本格的に作家としての創作を開始。昔ながらのフィルム撮影とデジタル撮影の両刀を使い分け、美術の世界も永遠のアイテムである「処女性」や少女と大人の女性の狭間で揺れ動く繊細な機微を独自のスタイルで表現した。人生の初心を忘れずに、10代の頃に抱いたせつない恋心が永遠のテーマ。
【個展&二人展】
2011 「Virgin Butterfly 汚れ無き最後の遊び」(Up Field Gallery)
2013 「First Love はつ恋」(神保町画廊), 武井裕之 × 大槻香奈「いつかまた会える夏に」(北鎌倉小舎)
2013 「海の音が聞こえる」featuring大槻香奈(神保町画廊), 武井裕之 × 渡邊安治「二番目の次の恋」(神保町画廊)
2015 「BURST THE INNOCENCE」featuring 新見麻紗子(The Artcomplex Center of Tokyo)
【グループ展】
2010 「ART★AIGA Summer Festa」(ART★AIGA), 「ART★AIGA Kunst october fest」(ART★AIGA)
2012 「AIGA★Show 2012」(ART★AIGA)
2013 「AIGA★Show 2013」(ART★AIGA)
2014 「モイラ嬢のための9つの変奏曲」(神保町画廊), 「7人の七菜乃展」(神保町画廊), 「禁断の果実たち」(白白庵)
2013 「乙女が恋するうつわたち」(GALLERY FUNATSURU / 京都), 「少女遊会」(パラボリカ・ビス)
【イベント】
2014 「学校制服超会議」主催 神保町画廊共同企画(東京堂ホール)
《ステートメント》
制服を着た少女は、今やありふれたモチーフではある。しかし、過度な装飾をそぎ落とし、そこから透けて見えて来る、彼女たちの 「迷い」「葛藤」「困惑」は、大人になる前に誰もが経験する「心の叫び」だ。
様々なエネルギーが複雑に絡み合い、凝縮して爆発する瞬間の美しさ・・・私たちは、そんな不思議な魅力を放つ、彼女たちの姿に引き寄せられる。
http://www.h-takei.com
新見 麻紗子 NIIMI Masako
【略歴】
1985 千葉県生まれ
2009 京都精華大学陶芸分野 卒業、「イケヤン★」オーディションにて新人メンバー選出
2010 京都市産業技術研究所工業技術センター陶磁器コース本科 修了
現在、千葉にて制作中
【主な陶歴】
2010〜2013 「イケヤン★展」(全国巡回)
2012 個展(酢飯屋水道ギャラリー / 東京), 「茶と出会う展」(西武渋谷店ギフトギャラリー / 東京)
2013 「辺境地展」(ココラボラトリー / 秋田), 飛騨高山大茶界併催「百?展」, 個展(まど枠 / 秋田)
2014 個展「青らむ展」(西武渋谷店ギフトギャラリー / 東京), 「ISETAN茶会」(伊勢丹新宿店 / 東京)
2013 「みやげもの」(日本橋三越 / 東京), 「禁断の果実たち」(白白庵 / 東京)
2013 「乙女の恋するうつわたち」(FUATSURU KYOTO KAMOGAWA RESORT / 京都)
2015 「おとなのひな祭り茶会」(伊勢丹新宿店 / 東京), 「花器自在」(日本橋三越 / 東京), 個展(銀座三越 / 東京)
《ステートメント》
私の作品から、手が切れそうだとか氷や地層というような表層的な印象が感じらるかと思います。そこから人は自分の記憶の中にあるものごとに結びつけて、子どもの頃を思い出したり太古の地球まで思いを馳せたりするかもしれません。そうやってものを通じて自分の心、記憶を呼び起こし、呼び起こされて、過去の郷愁感の中に新鮮な気持ちで入っていきます。私と他者では見ている景色は違うでしょう。しかし、違う景色を見ていても邂逅したように私と同じ景色を見ていたりします。一方で、私が真に呼び起こしたいことは情景とか記憶とか哀愁とか郷愁ではなく、「ああ、、、」と深く純粋に感じる気持ちなのです。
http://masakoniimi.wix.com/home
大槻 香奈 OHTSUKI Kana
【略歴】
1984年生まれ、京都在住の美術作家。
主にアクリル画で現代の情景を描き出している。
少女や蛹などの密室を感じさせるモチーフを、それらに感情移入する事なく、様々な表現の器として機能させ、開放的に表現している。
2007年より活動をスタート。国内外問わず様々な展覧会に参加し、国内では年に約一度個展を行っている。
またイラストレーターとしても活躍の場を広げ、書籍の装幀やCDジャケット等にも作品を描き下ろしている。
【個展】
2007 「再生回路」(digmeout ART & DINER / 大阪)
2008 「わたしの海について」(北鎌倉小舎 / 神奈川)
2009 「生み出す無」(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2010 「すべてになるその前に」(neutron tokyo / 東京), 「雲と石」(neutron kyoto / 京都)
2011 「乳白の街」(neutron tokyo / 東京)
2012 「地平線は羽化する」(くちばしニュートロン / 京都), 「母なる水平線」(京都嵯峨芸術大学)
2013 「みんなからのなか」(neutron tokyo / 東京)
2013 「みんなからのなか+」(DMOARTS / 大阪)
2014 「生処に帰す」(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2013 「大槻香奈実験室その1 16歳少女ポートレートを描く」(gallery near / 京都)
2013 「りぼん解ける」(DMO ARTS / 大阪)
2015 「大槻香奈実験室その2 かみ解体ドローイング」(ondo / 大阪)
【グループ展】
2007 「digmeout Rides again!」(portland, USA)
2013 「FUNKY802 digmeout EXHIBITION 2007」(東京・大阪)
2009 「3 Pins On a Map II」(Compound Gallery / portland, USA)
2010 「やがて朝がやってきて 昨日沈んだはずの太陽を 今日もまた見ている」大槻香奈・中村至宏(Calmloop)
2013 「2人展(エカイエ / 東京)
2013 「Home, Sweet Home」(neutron tokyo / 東京)
2011 「OPEN FACTORY」(neutron kyoto factory / 京都), 「来るべき世界」(neutron tokyo / 東京)
2013 「アートスロープ展」(渋谷西武百貨店 / 東京)
2013 「シブヤスタイルvol.5」(渋谷西武百貨店 / 東京)
2012 「microcosmos⇔universe」(neutron tokyo / 東京), 「Kawaii+大賞展」(SPIRAL GARDEN / 東京)
2013 「祈らずとも春は来る」大槻香奈・永井綾・中村至宏 3人展(gallery G / 広島)
2013 「山本冬彦が選ぶ 珠玉の女性アーティスト展」参加(銀座三越 / 東京)
2013 「Kawaii+大賞展」(志賀高原ロマン美術館 / 長野)
2013 「いつかまた会える夏に」武井裕之・大槻香奈 2人展(北鎌倉小舎 / 神奈川)
2013 「言葉のうまれる前に」中村至宏・下田ひかり・大槻香奈 3人展(gallery near / 京都)
2014 「滅んでゆく、朝焼け、いつか」大槻香奈・中村至宏・永井綾 3人展(galleryG / 広島)
2013 「TAKE OUT ART!」(gallery near / 京都)
2013 「滅んでゆく、朝焼け、いつか」大槻香奈・中村至宏・永井綾・弓葉(gallery near / 京都)
2013 「2014年の風景画展」(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2015 「やがてゼロに至る黙示録」下田ひかり個展 ゲスト参加(The Artcomplex Center of Tokyo / 東京)
2013 「みる景色、みえる景色」大槻香奈・中比良真子・中村至宏(galleryG / 広島)
【イラストレーション】
2007 「株式会社ハピネス計画」平山瑞穂(著)装幀画
2013 「CORE-O-RAMA Vol.2」MOB SQUAD TOKYO CDジャケット画
2013 「アホと呼ばれた80's」岡力(著)装幀画, 「厨房ガール!」井上尚登(著)装幀画
2013 「Minami Go! Round! with funky802.com」宣伝ポスター
2013 「りそな銀行 RESONART」キャッシュカード・宣伝ビジュアル
2008 「ランウェイ☆ビート」maha(著)装幀画
2009 「ベイビィ、ワンモアタイム」南綾子(著)装幀画
2013 「sunday girl in silence」KAREN CDジャケット画
2013 「アンを探して」宮平貴子監督・全国公開映画 劇中絵で参加
2010 「eposカード」券面デザイン
2011 「世界のはじまり」whoo CDジャケット画, 「Transit Lounge」表紙画, 他イラストレーション
2013 「Light Falls」yuxuki waga 動画イラストレーション(初音ミク)
2012 「ラガド 煉獄の教室」両角長彦(著)装幀画, 「空が分裂する」最果タヒ(著)挿絵参加
2013 「INNOCENCE」lasah CDジャケット画、「MUSiK Anatomia」kuh CDジャケット画
2013 「ILLUSTRATION 2013」イラストレーターとしての作品掲載
2013 「暗黒女子」秋吉理香子(著)装幀画, 「クリュセの魚」東浩紀(著)装幀画
2013 「Super Solo-EP」Hajimetal iTunesイラストレーション
2013 「平成マシンガンズ」三並夏(著)装幀画, 「禍家」三津田信三(著)装幀画
2013 「向かい風で飛べ!」乾ルカ(著)装幀画
2014 「鳴く女」福谷修(著)装幀画, 「ILLUSTRATION 2014」イラストレーターとしての作品掲載
2013 「“I LOVE YOU,"」lasah CDジャケット画
2013 「少女は鳥になりました」ほしおさなえ×大槻香奈×九ポ堂コラボレーション作品
2013 「Web連載空間ぽこぽこ」大槻香奈肖像画サービス開始
2013 「空にかける橋」ほしおさなえ(著)装幀画
2013 「放課後に死者は戻る」秋吉理香子(著)装幀画
2015 「女王はかえらない」降田天(著)装幀画
2013 「かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。」最果タヒ(著)装幀画
《ステートメント》
最近の絵画制作は大きな世界よりも個人の小さな世界に向けられている。
震災以降の日本という国をどう捉えて表現するかを考え、それを続けてきたが、今年に入って、個人がそれぞれ抱えているものを何か形に出来ないかという事を考えるようになった。
個人を見つめるという事は自分自身を見つめる事でもある。
自分自身をうつす鏡のような役割を果たす作品を作りたいと考えている。
http://ohtsuki.rillfu.com